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<詐欺的介護保険で悲鳴があがる職場と高齢者

 三一書房から『介護保険は詐欺である』(1300円+税 四六判160P)をいただいた。 介護保険料に怒る一揆の会編で、事務局長の日下部雅喜さんが執筆されているが、お仕事は大阪の介護保険窓口担当の地方公務員であり、実に詳しく、そして興味深く面白い。自分も65歳になり、この「国家的詐欺」の被害者となったから、よく解る。全国平均で年59,664円、月4,972円を負担させられているが、要介護認定者は2013年4月段階で549万人。これは65歳以上の18.2%にしか過ぎず、あとの81.5%は、まったくの「掛け捨て」になっている(19頁)。

 高年齢者の要介護といっても、75歳以下は10%をはるかに下回り、90歳以上でやっと要介護認定71%になる。しかも、高額の保険料は待ったなしで年金から強制天引きされる。この書のまえがきにはこう書かれている。

>2000年4月にスタートした介護保険制度。
誰もが40歳になれば知らないうちに健康保険料と一緒に「介護保険料」を取られ、65歳以上の人はさらに高額な「介護保険料」を年金から勝手に天引きされる。
この介護保険制度の本当の姿を知らないままに、保険料だけを払い続けているのが現状だ。
知れば知るほど、「これは国家的な詐欺だ!」と思う介護保険。健康に生活している人には無縁で、しかも制度は、複雑で分かりにくい。
「介護保険のインチキ」を明らかにし、これからの老後保障のあり方について考えるのが本書の目的だ
http://31shobo.com/

自分の現役時代、多くの善意あふれる方々も努力し導入された介護保険制度だが、この書をよむほどに、その詐欺的手法に怒りがこみあげてくる。「無収入者と億万長者でたった1.5倍の保険料差しかなく、著しく逆進性が高い」とある。年額50万円の年金で暮らすAさんは、年29,832円で収入の5.9%の負担率、年収3千万のBさんは、89,496円で収入のわずか0.3%でよい。「収入が60倍でも、介護保険料はたった3倍にしかならない」。これに対し、国は「いくら負担能力があっても一部の者にあまりに高い保険料を課すのは、これらの者の理解を得られず、適当ではない」とうそぶく…。この類の話が延々と記されている

そして、介護保険制度はどんどん改悪され、介護労働者は低賃金・重労働で酷使され続けている。関係ニュースは自分の「ブログ倉庫」に山積されている。


レイバーネットHPで三一書房新刊『介護保険は詐欺である』を紹介してもらいました

http://www.labornetjp.org/news/2014/1209hon

介護保険についてはその発足の二〇世紀末当時から泥縄的だとの批判があり、多くの問題をはらんでいた。我が国がいずれ高齢化社会になるであろうことは、統計上からもずっと以前からわかっていたのにもかかわらず、政府はそれの予防的な対策をほとんどとってこなかった。やっと腰をあげ、運用が始まったのは世紀の変わり目の頃のことであった。
 しかし実際に運用されると当然のことながら矛盾が続出して、その都度手直しを迫られ、さらに、柔軟さに欠けるお役所の対応でその運用が迷走している。何より問題なのは、もっともその恩恵にあずかるべき高齢者が支払っただけのサーヴィスをほとんどうけることがなく、しかも高額で掛け捨て、「保険」と言いながら拒否のできない強制徴収で高齢者の生活を圧迫している。「やらずぼったくり」なのだ。

 最近の「東京新聞」は、特養(特別養護老人ホーム)の費用が相部屋でも月一万五千円の実費負担が打ち出されると報道している。僅かな年金で老後の生活設計をしている多くの高齢者が、恩恵を受けるどころか逆に被害者化しているのではないだろうか?

 本書の企画の動機は編集子が《後期高齢者》となり、保険料が年金から天引きされることになり、それまでの約3倍という高額の保険料を“取られる”一方で、その恩恵をうける可能性がほとんどないことを知ったことから始まった。

 これに対して「取り過ぎの保険料を返せ」と、当たり前の要求の声を上げて運動している人々が大阪にいることを知ったのは二〇一一年のことである。ちょうどそのころ、本書では冒頭に登場する知人のU氏(内容の関係で居住地も匿名にさせて頂いている)から、この保険の酷さを訴える手紙を頂いたことからも、編集子に介護保険の実態を対象となる全ての人たち一刻も早く知らせなければならないという思いを強くさせた。

 とくにU氏は制度に異議をとなえて役所とかけあい、個人として対応できるぎりぎりのところまで追及された。彼のように介護保険が「おかしい」と感じている人は少なからずおられるだろう。我々が黙っていれば「やらずぼったくり」が「やられっぱなしになる」ばかりだ。そして異議をとなえると国家権力は「裁判」や「制度」を盾に、恫喝と当事者が長い時間をかけた複雑な対応を取らざるを得ないようなやり方で抑え込もうとする。それによって意に反して運動を抑えられた人たちも各地に居られるであろう。

 そんな中、十余年にわたって、当たり前の運動として活動している「大阪・介護保険料に怒る一揆の会」の存在を知り、会の方々と事務局長・日下部雅喜さんとの出会いから完成したのが本書だ。 「福祉」の名目で高齢者のなけなしの年金からピンハネする国家権力の詐欺まがいのカラクリを暴く本書を、生活の武器として今後の対応の参考にして頂きたいと願う。(O)

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介護保険料に怒る一揆の会編・日下部雅喜著
三一書房刊・1300円+税