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緊急出版! 好評発売中

あなたは、理不尽な差別を目のまえにした時、
「ノー!」と声を上げることが出来ますか?

ヘイト・クライム 前田 朗 著
―憎悪犯罪が日本を壊す― ISBN978-4-902773-26-2 C0036 定価◎本体1,300 円+税



人種主義や人種差別が怖いのは、気づいたときには根深く、深刻な事態になっているからだ。いざという時には手遅れになっているからだ。
 ヘイト・クライムを放置しておくと、差別がどんどん激化していく。社会から信頼や連帯が失われていく。公正、正義、自由、権利、尊厳といった価値や理念も損なわれる。残るのは侮蔑、破壊、敵意、憎悪、不正の感情だけである。憎悪犯罪は社会を壊すのだ。
( 本書はしがきより)




目次より
第1章 噴き出すヘイト・クライム
    ― 京都朝鮮学校事件から見えてきたこと
第2章 朝鮮人差別はいま
    ― 9・17以後の硬直した日本
第3章 コリアン・ジェノサイドとは何か
    ― よみがえる関東大震災朝鮮人虐殺
第4章 人種差別との闘い
    ― 国際人権法の歩み
第5章 ヘイト・クライムの刑事規制
    ― 社会を壊さないために
第6章 人種差別禁止法をつくろう
    ― 私は差別をしない、と言うのなら


本書「はしがき」より


 インターネット上でうごめいてきた人種差別が現実世界に溢れ出してきた。
 二〇〇九年、日本各地で外国人に対する差別と迫害が目立ち始めた。人種主義や人種差別は以前から起きていたが、最近は、意図的に人種差別の呼びかけがなされ、組織的なヘイト・クライム(憎悪犯罪)が継続的に行われている。
 第一の特徴はインターネットである。ネット上の掲示板やメーリングリスト(ML)に人種差別が蔓延していると指摘されて久しい。国際人権機関でも、ネット上の人種差別問題に注目が向けられ、ネット上での人種差別を克服する教育普及を課題として掲げてきた。日本でも同じことが指摘されてきたが、差別が現実世界に躍り出てきた。
 ネット上で差別と排除の共同行動が呼びかけられ、集った「市民」が少数者に暴力的に襲いかかり始めた。
第二の特徴は、組織性、集団性である。チマ・チョゴリ事件をはじめとする朝鮮人に対する差別と犯罪は、個人が前面に出ていた。背後に組織的な思惑が見え隠れすることはあったが、実行行為は個人が単独で行っていた。ところが、最近は、組織的集団的に押しかけて脅迫や暴力を繰り返している。
*             *
 人はみな平等であり、人種、民族、出身、性別その他の理由によって政治的経済的社会的に差別してはならない。
――こんなことは当たり前であって、誰もが「差別はよくない」と知っている。知っているだけではない。ほとんどの人は差別をしてはいけないと考えているし、差別しないように努力している。差別を目撃すれば憤慨する心情を持っている。
 とはいえ、日本社会にさまざまな差別があるのも否定できない事実だ。人種差別もあれば、少数者や先住民族に対する差別、性差別、部落差別、障がい者差別など、さまざまな差別が現にあり、差別に苦しんでいる人がいる。
 差別と闘っている人もいる。そのことも誰もが知っている。誰もが不当な差別を許してはならないと感じている。
 けれども、差別に取り組むのは結構しんどいものだ。差別を許すなと言っても、自分の中にも同じようなメンタリティがあるのではないかと不安になってしまう。自分の中の差別に向き合うのはかなりのエネルギーが必要だ。
 差別するかもしれない自分に向き合って、差別を克服する作業なんて、できれば避けたい。
 「私は差別しない」と思っているほうが、たぶん楽だろう。私は差別しないのだから、差別は他人の問題だ。自分と関係ないのに、差別のような重たいテーマに取り組む理由がない。単なる傍観者になろうというわけではない。
 いざとなれば私は差別に反対する。ただ、日頃から差別のことばかり考えてはいられない。
 それに、差別はよくないが、人間社会から差別が簡単になくなるとも思えない。みんな同じだなんてありえない。
差別はよくないが、区別は必要だ。みんな自分で努力して這い上がっていかなくてはならないんだし、努力が報われない平等社会なんて、却って不自然だ。だから差別、差別と言っているよりも、もっと前向きになって、努力して自分を鍛えて、区別を乗り越えていけばいいんだ――こういう風潮が社会を覆っていれば、悪質な差別がひそかに隙間に入り込むのは容易なことだろう。差別に抗するエネルギーが奪われてしまうからだ。たしかに、ほとんどの人は積極的に差別をすることはないだろう。しかし、他人の差別が自分の問題ではない以上、理不尽な差別が行われたときに、本当に「ノー!」と声を上げることができるだろうか。
 目の前の「小さな差別」――被害者にとって決して小さくはないが――に目をふさぎ、声を上げない社会は、より大きな差別が起きたときに、断固として「ノー!」と言えるだろうか。
 ヘイト・クライム(憎悪犯罪)はいつの間にか社会に浸透し、蔓延するかもしれない。人種主義や人種差別が怖いのは、気づいたときには根深く、深刻な事態になっているからだ。いざという時には手遅れになっているからだ。
 ヘイト・クライムを放置しておくと、差別がどんどん激化していく。社会から信頼や連帯が失われていく。公正、正義、自由、権利、尊厳といった価値や理念も損なわれる。残るのは侮蔑、破壊、敵意、憎悪、不正の感情だけである。
憎悪犯罪は社会を壊すのだ。
    *              *
 本書は、二〇〇九年に噴出したヘイト・クライム現象に焦点を当てて、日本における人種主義と人種差別の問題について検討し、ヘイト・クライムをはびこらせないために、社会全体として取り組むべき課題を明らかにすることをめざしている。
 ヘイト・クライムとは、あまり聞きなれない言葉だ。詳しい定義は本文に譲るとして、とりあえず、人種・民族・国民的な差異をことさらにターゲットにして行われる差別行為と、そうした差別の煽動のことを指している。
人種差別撤廃条約における定義や、人種差別撤廃委員会における議論の中で、さまざまな人種主義と人種差別の存在が明らかにされてきた。日本にも同じような差別が見られるが、二〇〇九年には、意図的、組織的に差別が行われ、従来にないヘイト・クライム現象が起きるようになってきた。被害も深刻である。
 本書の構成は次のとおりである。
 第1章では、京都朝鮮学校事件に見られる典型的な朝鮮人差別や外国人に対する迫害、排外主義の諸現象を取り上げ、この現象をめぐる日本社会の反応を確認する。
 第2章では、それ以前から長期間にわたって継続してきた朝鮮人差別を、日本政府による差別と、日本社会における差別に分けて、それぞれ明らかにしていく。
 第3章では、ヘイト・クライムの極限とも言うべき関東大震災朝鮮人虐殺を、ジェノサイドと人道に対する罪という観点から検討し、世界史の中におけるコリアン・ジェノサイドについて考える。
 第4章では、人種差別撤廃条約を中心とする国際的取組みをフォローし、さらにダーバン人種差別反対世界会議の成果文書であるダーバン宣言を一瞥して、人種差別との闘いを考える。
 第5章では、ヘイト・クライムを禁止する刑事規制に焦点を当てて、英米法におけるヘイト・クライムの状況や、人種差別撤廃委員会によるガイドラインを紹介する。
 第6章では、日本における人種差別禁止法についての議論を踏まえて、人種差別禁止法制定の課題を探る。
以上を通じて、ヘイト・クライムを許さない社会をいかにして形成していくのかという課題への第一歩を踏み出すことができるだろう。


発行:三一書房労働組合
発売:教育実務センター事業部
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お問い合わせは下記へ
31union(アットマーク)gmail.com
三一書房労働組合
コメント
この記事へのコメント
私が日々実感、体験させられている差別・憎悪犯罪について、実情にそくして、また、理論的に著述されています。

多くの人に読んでもらいたいです。
2010/04/09(金) 08:35 | URL | ファン・ヨンチ #-[ 編集]
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