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「慰安婦」問題の現在

「慰安婦」問題の現在―「朴裕河現象」と知識人

四六判 ソフトカバー 248頁
<4月15日書店発売>
ISBN978-4-380-16001-1 c0036
定価:本体1800円+税
前田朗編

日韓「合意」は「慰安婦問題」の解決をはるか彼方に遠ざけてしまった。
被害当事者を置き去りにした「朴裕河(パク・ユハ)現象」から安倍70年談話、日韓「合意」へと連なる動きの根本を抉る!

第一部 問われる日韓「合意」
・鈴木裕子  解決には程遠い今回の日韓「合意」
・前田朗 いま何が問われているか
・金 優綺 「合意」の全面無効を――朝鮮民主主義人民共和国の反応
・許仁碩 台湾政府は口先だけの対応をやめるべき
・キャロライン・ノーマ 戦時性奴隷とされた女性に歴史的正義を――オーストラリア政府がなすべき対応
第二部 「朴裕河現象」を考える
・早尾貴紀 「和解」論批判 ――イラン・パペ「橋渡しのナラティヴ」から学ぶ
・李在承 感情の混乱と錯綜:「慰安婦」についての誤ったふるい分け
・前田朗 植民地解放闘争を矮小化する戦略
・金富子 新しさを装った歴史修正の動き
・能川元一 『帝国の慰安婦』における資料の恣意的な援用について
・李娜榮 「『帝国の慰安婦』事態に対する立場」声明の経緯と今後の方向
第三部 朝日新聞記事訂正問題を問う
・今田真人 「吉田証言」は本当だった――公文書の発見と目撃証人の登場
第四部 植民地主義と知識人の責任を問う
・徐京植 日本知識人の覚醒を促す――和田春樹先生への手紙
・前田朗 「慰安婦」問題と学問の暴力 ――植民地主義とヘイト・スピーチ
【本書の内容】

第一部では、日韓合意とは何であり、それがなぜ解決に達し得ないのかを明らかにすることをめざす。
鈴木裕子は、日韓合意の背景と経過をたどりながら、その政治的意味を問う。前田朗は、本来何が問われていたのか、日韓合意では何が隠蔽されたのかを論じる。
さらに、「慰安婦」問題は日韓の外交問題ではなく、より広い意味での国際問題であるので、朝鮮民主主義人民共和国、台湾、オーストラリアからの声を収録した。

第二部では、朴裕河訴追問題を機に、『和解のために』及び『帝国の慰安婦』がいかなる著作であるのか、「歴史研究」と呼ぶに値するのかを検討する。そのために、早尾貴紀、李在承、金富子、前田朗、能川元一の論考をおさめた。朴裕河訴追を受けて韓国で発表された声明の経過についての李娜榮の解説も収録した。

第三部では、「吉田証言」問題について、存命中の吉田氏にインタヴューを行い証言を聞き取ってきたジャーナリスト、今田真人による再調査と徹底追跡の成果を提示する。朝日新聞による吉田証言の「検証」とは何であったのか、日本軍による強制連行はどのようになされたのかを解明する。

第四部では、日本における「慰安婦」問題の現状を規定している東アジアにおける植民地主義に焦点を当て、〈朴裕河現象〉の歴史的かつ現在的意味を問う。
徐京植は、「和田春樹先生への手紙」という形で、知識人が「慰安婦」問題に象徴される日本植民地主義から目を背け、歴史を否認する姿勢を固めてきたことに警鐘を鳴らす。
前田朗は、朴裕河訴追に抗議する日本「リベラル派」の声明を検討し、彼ら彼女らが植民地主義から自由になれず、自らの特権に安住していることを批判する。

「慰安婦」問題は解決していないだけでなく、日韓合意によって解決をはるかかなたに遠ざけられてしまった。しかし、これまでの4半世紀の調査・研究・運動によって、国際社会から適切な解決の提案が示されてきた。今後も的確な事実認定に基づいた議論を継続することによって、中途半端な隠ぺいを許さず、真の解決を求め続ける被害女性と支援団体の運動に伴走しつつ、戦時性暴力、女性に対する暴力、人道に対する罪の責任を問う知的営為が続けられるだろう。本書もその一翼を担うことを願う。
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