san-ichi-syobo worker`s union
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「在特会」という団体を知っているだろうか。正式名称を「在日特権を許さない会」という。在日に特別な権利などあるわけもない。彼らは、特に「特別永住資格」をやりだまにあげているが、在日朝鮮人や在日する外国人が日本で暮らすうえでのあらゆる基本的人権を許さないということなのだ。
 彼らは朝鮮学校へ押しかけて差別的・脅迫的な言葉を怒鳴って子どもたちを脅かしたり、「従軍慰安婦」問題の展示・報告集会に押しかけて集会を妨害したりした。埼玉県蕨市で在留期間が過ぎたカルデロンさん夫婦が国外出国になった事件に際しては、130名あまりが手に手に日の丸を掲げて蕨市の住宅街を行進し、「犯罪外国人を日本から叩き出せ!!」などとがなりたてた。挙げ句の果ては中学校まで押しかけて騒いだ。他にも朝鮮大学校に押しかけたり、京都ウトロ地区で「朝鮮人を追い出せ」「朝鮮人を銃撃してください」などと気勢を上げたりし、これらのビデオを自慢げにインターネット上に公開している。
 頻発するチマ・チョゴリ切り裂き事件が、欲求不満を溜め込んだ個人の犯罪だとすると、「在特会」は人種差別を旗印とかかげ、その行動を自慢げに見せびらかせる異常な犯罪集団だ。彼らの理論的な根拠は言わずと知れた「自由主義史観」であるから、あまり科学的とは言えないが、そんなことは彼らにとってはおかまいないことだ。
 代表の「桜井誠」はペンネームで北九州市出身と自称しているようだが、本名も生業も明らかでない。インターネットで「在特会」を探せば蝶ネクタイで眼鏡をかけた小太りの男の容貌を知ることはできる。彼は独学で韓国について学び、「韓国という国は、知れば知るほど嫌いになる希有の国」になったという。好き嫌いは個人の自由だが、憎悪を根拠にした排外主義は醜い。
 彼らは右翼団体のように見えるが、古き良き日本の文化や伝統を愛する人々ではないようだ。少なくとも愛国主義ではない。司馬遼太郎的明治の英雄史観ともほど遠い。「イジメ」の構造がそうであるように、自らの能力や人格などに自信の持てないものが他者を差別的に攻撃し排外することによって、自己を精神的に支えようとする醜い行動パターンを保っている。思想的淵源など探すべくもない。
 しかし問題は、小泉内閣以降の「自由競争資本主義」がもたらした不況と貧富の差が、彼らの異常な精神を支え増殖させているということだろう。そしてまた政府や政治家たちの少なくない人々が彼らを擁護しているということ、彼らの暴力行動を警察が保護しているともとれる態度であることだ。
 前田朗は「ヘイト・クライム」を〈自己と他者の対立構造を前提として、守るべき自己利益のために他者を排除し差別するのがヘイト・クライム(憎悪犯罪)の始まりだ」と定義している。
 本書はヘイト・クライムの実態や朝鮮人差別の現実を紹介したうえで、ジェノサイドを歴史的に解き明かしながら、関東大震災の朝鮮人虐殺が軍隊と警察による虐殺だったと論証している。さらに国連人種差別撤廃条約を紹介するなど、国際人権法の歩みと現在を紹介しているが、日本政府がいかに人権の保障に非協力的かが窺われる。
 国連人種差別撤廃条約に基づく「人種差別」とは人種だけでなく、皮膚の色、世系(カーストや部落差別も含む)、民族の違いに基づく差別を含んでいる。人種差別禁止法が無い我が国で、こういった意味での「人種差別」は禁止されていない。日本政府は人種差別禁止法を必要とするような人種差別は存在しない、と断定しているからだ。前田朗は更に人種差別撤廃条約が人種差別禁止法の制定を求めているから、大半の諸国には人種差別禁止法があり、アメリカなど深刻な人種差別犯罪がおきてきた国にはヘイト・クライム法があると示したうえで、人種差別禁止法を作ろうと訴える。人種差別禁止法の無い日本の現状は、被害者がヘタに告発しようとすると、報復のおそれさえある。「在特会」のような集団の行動が容認されているからだ。
 彼らの行動は「意見・表現の自由」とは無関係である。2001年の人種差別撤廃委員会は、石原慎太郎の「三国人発言」を条約に違反する差別発言だと明確に指摘(日本政府は石原を擁護)しながら、人種的優越・憎悪に基づくあらゆる思想の流布の禁止は、意見・表現の自由の権利と両立する、としている。国際社会は、朝鮮学校を高校無償化から外そうとする政府の発言にも批判的だ。
 この本は日本に差別犯罪禁止の法的整備を掲げ、日本が国際社会からますます孤立していき、壊れていく現状からの打開策を示している。
 著者の前田朗は東京造形大教授で、刑事人権論・戦争犯罪論を専門としている。著書に『戦争犯罪と人権』、『人道に体する罪』、『非国民がやってきた!』などがある。この本を出版したのが出版社ではなく、労働組合であることも興味深い。           
                ◇
本書の発行:三一書房労働組合、販売:教育実務センター事業部、¥1300+税
因みに三一書房労働組合の連絡先はFAX:03-5712-4728
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